Belle II 実験崩壊点検出器SVDラダーのマウント完了と宇宙線初観測

高エネルギー加速器研究機構において最後の6層目SVDラダーを支持体に配置するラダーマウントが7月初旬に完了しました。

SVD-X(外側)。第6層目SVDラダーが見える。

 

SVD-X(内側)。3層目から6層目までラダーがぎっしり詰まっているのが分かる。

 

 

Belle II測定器の崩壊点検出器(VXD:VerteX Detector)は、電子・陽電子衝突点の最近傍に置かれ、生成した様々な荷電粒子の位置を精密測定し、衝突反応直後に生成された短寿命粒子の崩壊位置(Vertex)を再構成するのに重要な役割を果たします。
Belle II VXDは円筒状になっていて内側の2層にピクセル検出器(PXD:PiXel Detector)と、その外側の4層にシリコン崩壊点検出器(SVD:Silicon Vertex Detector)からなります。

本研究室ではこのSVDの建設に携わっています。特に最も再外層に位置する崩壊点検出器6層目(SVDの4層目)の量産に参加して大きな貢献をしています(先月の6層目ラダー量産完了報告を参照)。

現在、SVD検出器は写真のように円筒を2分割にして別々に組み立てられています(区別するためにSVD+XとSVD-Xと呼んでいます)。最終的には別で組み立てられたPXDをSVD中心にインストールし、2分割されたSVD±Xをサンドイッチして6層からなる崩壊点検出器が完成します。

PXDがインストールされるまでSVD±Xのそれぞれで様々な試験が行われます。その中でも宇宙線の信号を検出して飛跡を再構成できるかどうかは実際の実験で行われる検出器運用とほぼ同じで検出器の最終統合試験に位置づけられる重要な試験です。昨年度末に組みあがったSVD+Xで同じく今月初旬に初の宇宙線飛跡再構成にも成功しました。

宇宙線の飛跡を図示したSVD+Xのイベントディスプレイ。各層で×の交点が宇宙線が通った位置になっている。

いよいよSVDの完成が間近に迫ってきました。そしてSVDとPXDが合体し、崩壊点検出器VXDが完成します。来年初頭にVXDはBelle II検出器の心臓部にインストールされ、Belle II検出器が完成します。その後Belle II実験が本格開始します。今後の研究の進展にご期待ください。

Belle II実験シリコン崩壊点検出器SVDの量産完了

我々の研究室は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器を用いて生成されるB中間子・D中間子・τ粒子等の崩壊を詳細に調べ,素粒子物理の標準模型を超える現象を探索するBelle II(ベルツー)実験に参加しています。

SuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の運転が終了した2010年から,加速器の衝突頻度を40倍に高めるための改造と,対応して測定装置(Belle II検出器)の性能を高めるアップグレードを行ってきました。

Belle II検出器はSuperKEKB加速器の衝突点を囲むように設置されています。この衝突点の最近傍に、B中間子などの崩壊位置を精密に測定する崩壊点検出器が、円筒状に6層配置されます。各層は底板と蓋が無い樽のような形になっており、側板にはラダーと呼ばれるシリコン半導体放射線検出器が並べられます。

我々の研究室では3層目から6層目の崩壊点検出器(SVD)の設計から量産まで全てに貢献してきました。特に全長が一番長く(750mm)、最も複雑な構造で、必要なラダー本数が最も多い6層目ラダーの量産に大きな貢献をしてきました。ラダー組立には高精度の組立精度(数100μm)と、約8000本/ラダーにも及ぶ電気的結線(ワイヤボンド)などが要求されるため、製作作業は非常に難しいものでした。

2011年12月に本研究室でSVDラダー量産計画が開始され、2016年2月に東大柏キャンパスのカブリIPMUにて6層目ラダー量産がスタートしました。そして2018年5月に25個目の最後の6層目ラダーが完成し、SVDラダー全ての量産が終わりました。

2018年7月に6層目ラダーが崩壊点検出器に組み込まれ、同年末にBelle II検出器にインストールされ、Belle II検出器が完成します。そして2019年初頭からはいよいよBelle II実験が本格稼働する予定です。今後の研究の進展にご期待ください。

KEKで組立てているSVD検出器

完成した6層目ラダー

カブリIPMUでのラダー製作の様子

SuperKEKB加速器で電子・陽電子の初衝突を観測

我々の研究室は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器を用いて生成されるB中間子・D中間子・τ粒子等の崩壊を詳細に調べ,素粒子物理の標準模型を超える現象を探索するBelle II実験に参加しています。

SuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の運転が終了した2010年から,加速器の衝突頻度を40倍に高めるための改造と,対応して測定装置(Belle II検出器)の性能を高めるアップグレードを行ってきました。

2016年には衝突なしでビームを調整する「フェーズ1」運転が行われたのち,2017年春にはBelle II 測定器を衝突点にロールイン,その後も衝突点付近の電磁石を導入するなど立ち上げ作業を行い調整を進めてきました。

2018年3月19日から衝突に向けて「フェーズ2」運転を開始し,2018年4月26日午前0時38分,初めての電子・陽電子の衝突が観測されました。

今後,7月までフェーズ2運転を継続し加速器・測定器の調整とデータ収集を行います。その後,夏から秋にかけて我々の研究室で作成したシリコンバーテックス検出器(SVD)などの崩壊点位置検出器を中心部に組み込んでBelle II検出器を完成させ,2019年初頭からはいよいよ本格的な実験(フェーズ3)が開始される見込みです。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)のプレスリリース

Belle II実験SVD第6層用ラダーの実機製作開始

当研究室では,これまでBelle II検出器の心臓部にあたるシリコンバーテックス検出器(SVD)の開発を中心となって進めてきました。SVDは,半導体検出器や信号読み出し回路を組み合わせた「ラダー」と呼ばれる構造体を円筒形に並べたものを層状に組み合わせて製作されます。
ラダーの製作は世界中で分担して行われますが,我々は,Belle II検出器のSVDの中で最も外側に置かれる第6層用ラダーの生産を担当しています。外側に置かれるために最も大きく,機械的強度を保ちながら精密な組み立てが要求されるなど,開発には多くの技術的な困難がありましたが,数年間に及ぶR&Dを終えていよいよ実機の生産が始まり,2016年6月に最初のラダーが完成しました。

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