J-PARC加速器施設 無料見学ツアー 2019

2019/6/8(土)に,主に 東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻での素粒子原子核実験・加速器分野(A2サブコース)での研究に興味がある学部生を主な対象に,世界最高クラスの強度を持つ陽子加速器施設,J-PARCの見学会を開催します。

詳細については,以下のページをごらんください。(参加登録は締め切りました)

J-PARC 施設見学ツアー 2019

物理学専攻 A2サブコースには,J-PARCで世界最先端の研究を行なっている以下の教員が所属しています。

  • 小沢 恭一郎(高エネルギー加速器研究機構)
  • 小関 忠(高エネルギー加速器研究機構)
  • 齊藤 直人(高エネルギー加速器研究機構)
    • ミューオンの磁気及び電気双極子モーメントの測定による,標準模型を超えた新たな物理の探索
    • 研究室ホームページ
  • 横山 将志(東京大学 大学院理学系研究科)

ダークマターは原始ブラックホールではなかった!?

本研究室の大学院生 新倉広子さんの研究成果が,Nature Astronomyに掲載されました。新倉さんたちは,ハワイのすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Camでアンドロメダ銀河を観測しそのデータを解析することで,ダークマターの候補かもしれないと考えられていた原始ブラックホールの存在量に制限をつけました。
新倉さんはこの研究で昨年度博士号を取得しました。

Kavli IPMUのニュースページもご覧ください。
https://www.ipmu.jp/ja/20190402-PrimordialBlackHole

Nature Astronomy 掲載の論文はこちら
https://doi.org/10.1038/s41550-019-0723-1

T2K前置検出器アップグレード計画のレビュー委員会を開催

2018年12月8日-9日に,茨城県東海村でT2K前置検出器アップグレード計画のレビュー委員会が開かれました。この委員会は,当研究室が中心となって進めているアップグレード計画を審査するために,高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所の元に組織されたものです。

二日間の会議では,T2K実験のメンバーがアップグレード計画の詳細を説明し,委員からの質問に答えました。会議の最後には委員会からのまとめとして,計画の重要性を認め,2021年の完成に向けて前置検出器アップグレードを完成させるように努めるべきであるという報告がありました。

前置検出器アップグレードレビュー委員会の様子。

光検出器に関する国際会議PD18を主催

2018年11月27日-29日に,次世代光検出器に関する国際ワークショップ, “5th International Workshop on New Photon-Detectors” (PD18) を小柴ホールで開催しました。

PDシリーズは,様々な分野における,光検出器の開発,応用に関する最新情報を持ち寄って議論をし, 将来の実験分野における光センサーの開発,応用に役立てるためのワークショップです。世界各地で数年ごとに開催されていて,5回目となる今回は本研究室の横山准教授が共同主催者の一人をつとめ,15カ国から105人の参加者がありました。

Belle II 実験崩壊点検出器SVDラダーのマウント完了と宇宙線初観測

高エネルギー加速器研究機構において最後の6層目SVDラダーを支持体に配置するラダーマウントが7月初旬に完了しました。

SVD-X(外側)。第6層目SVDラダーが見える。

 

SVD-X(内側)。3層目から6層目までラダーがぎっしり詰まっているのが分かる。

 

 

Belle II測定器の崩壊点検出器(VXD:VerteX Detector)は、電子・陽電子衝突点の最近傍に置かれ、生成した様々な荷電粒子の位置を精密測定し、衝突反応直後に生成された短寿命粒子の崩壊位置(Vertex)を再構成するのに重要な役割を果たします。
Belle II VXDは円筒状になっていて内側の2層にピクセル検出器(PXD:PiXel Detector)と、その外側の4層にシリコン崩壊点検出器(SVD:Silicon Vertex Detector)からなります。

本研究室ではこのSVDの建設に携わっています。特に最も再外層に位置する崩壊点検出器6層目(SVDの4層目)の量産に参加して大きな貢献をしています(先月の6層目ラダー量産完了報告を参照)。

現在、SVD検出器は写真のように円筒を2分割にして別々に組み立てられています(区別するためにSVD+XとSVD-Xと呼んでいます)。最終的には別で組み立てられたPXDをSVD中心にインストールし、2分割されたSVD±Xをサンドイッチして6層からなる崩壊点検出器が完成します。

PXDがインストールされるまでSVD±Xのそれぞれで様々な試験が行われます。その中でも宇宙線の信号を検出して飛跡を再構成できるかどうかは実際の実験で行われる検出器運用とほぼ同じで検出器の最終統合試験に位置づけられる重要な試験です。昨年度末に組みあがったSVD+Xで同じく今月初旬に初の宇宙線飛跡再構成にも成功しました。

宇宙線の飛跡を図示したSVD+Xのイベントディスプレイ。各層で×の交点が宇宙線が通った位置になっている。

いよいよSVDの完成が間近に迫ってきました。そしてSVDとPXDが合体し、崩壊点検出器VXDが完成します。来年初頭にVXDはBelle II検出器の心臓部にインストールされ、Belle II検出器が完成します。その後Belle II実験が本格開始します。今後の研究の進展にご期待ください。

Belle II実験シリコン崩壊点検出器SVDの量産完了

我々の研究室は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器を用いて生成されるB中間子・D中間子・τ粒子等の崩壊を詳細に調べ,素粒子物理の標準模型を超える現象を探索するBelle II(ベルツー)実験に参加しています。

SuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の運転が終了した2010年から,加速器の衝突頻度を40倍に高めるための改造と,対応して測定装置(Belle II検出器)の性能を高めるアップグレードを行ってきました。

Belle II検出器はSuperKEKB加速器の衝突点を囲むように設置されています。この衝突点の最近傍に、B中間子などの崩壊位置を精密に測定する崩壊点検出器が、円筒状に6層配置されます。各層は底板と蓋が無い樽のような形になっており、側板にはラダーと呼ばれるシリコン半導体放射線検出器が並べられます。

我々の研究室では3層目から6層目の崩壊点検出器(SVD)の設計から量産まで全てに貢献してきました。特に全長が一番長く(750mm)、最も複雑な構造で、必要なラダー本数が最も多い6層目ラダーの量産に大きな貢献をしてきました。ラダー組立には高精度の組立精度(数100μm)と、約8000本/ラダーにも及ぶ電気的結線(ワイヤボンド)などが要求されるため、製作作業は非常に難しいものでした。

2011年12月に本研究室でSVDラダー量産計画が開始され、2016年2月に東大柏キャンパスのカブリIPMUにて6層目ラダー量産がスタートしました。そして2018年5月に25個目の最後の6層目ラダーが完成し、SVDラダー全ての量産が終わりました。

2018年7月に6層目ラダーが崩壊点検出器に組み込まれ、同年末にBelle II検出器にインストールされ、Belle II検出器が完成します。そして2019年初頭からはいよいよBelle II実験が本格稼働する予定です。今後の研究の進展にご期待ください。

KEKで組立てているSVD検出器

完成した6層目ラダー

カブリIPMUでのラダー製作の様子

岩本研究員がFrederick Lobkowicz Prizeを受賞

本研究室・特任研究員の岩本康之介さんが,学位を取得したロチェスター大学のFrederick Lobkowicz Prize を受賞しました。
Frederick Lobkowicz Prize は,大学院博士課程において,天体素粒子物理学/高エネルギー核物理学/高エネルギー素粒子物理学の分野で非凡な実験的研究成果をあげた人物に贈られる賞です。

ロチェスター大学時代の指導教員,Kevin McFarland教授(左)から記念の賞状を受け取る岩本さん(右)。