Belle II実験シリコン崩壊点検出器SVDの量産完了

我々の研究室は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器を用いて生成されるB中間子・D中間子・τ粒子等の崩壊を詳細に調べ,素粒子物理の標準模型を超える現象を探索するBelle II(ベルツー)実験に参加しています。

SuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の運転が終了した2010年から,加速器の衝突頻度を40倍に高めるための改造と,対応して測定装置(Belle II検出器)の性能を高めるアップグレードを行ってきました。

Belle II検出器はSuperKEKB加速器の衝突点を囲むように設置されています。この衝突点の最近傍に、B中間子などの崩壊位置を精密に測定する崩壊点検出器が、円筒状に6層配置されます。各層は底板と蓋が無い樽のような形になっており、側板にはラダーと呼ばれるシリコン半導体放射線検出器が並べられます。

我々の研究室では3層目から6層目の崩壊点検出器(SVD)の設計から量産まで全てに貢献してきました。特に全長が一番長く(750mm)、最も複雑な構造で、必要なラダー本数が最も多い6層目ラダーの量産に大きな貢献をしてきました。ラダー組立には高精度の組立精度(数100μm)と、約8000本/ラダーにも及ぶ電気的結線(ワイヤボンド)などが要求されるため、製作作業は非常に難しいものでした。

2011年12月に本研究室でSVDラダー量産計画が開始され、2016年2月に東大柏キャンパスのカブリIPMUにて6層目ラダー量産がスタートしました。そして2018年5月に25個目の最後の6層目ラダーが完成し、SVDラダー全ての量産が終わりました。

2018年7月に6層目ラダーが崩壊点検出器に組み込まれ、同年末にBelle II検出器にインストールされ、Belle II検出器が完成します。そして2019年初頭からはいよいよBelle II実験が本格稼働する予定です。今後の研究の進展にご期待ください。

KEKで組立てているSVD検出器

完成した6層目ラダー

カブリIPMUでのラダー製作の様子

岩本研究員がFrederick Lobkowicz Prizeを受賞

本研究室・特任研究員の岩本康之介さんが,学位を取得したロチェスター大学のFrederick Lobkowicz Prize を受賞しました。
Frederick Lobkowicz Prize は,大学院博士課程において,天体素粒子物理学/高エネルギー核物理学/高エネルギー素粒子物理学の分野で非凡な実験的研究成果をあげた人物に贈られる賞です。

ロチェスター大学時代の指導教員,Kevin McFarland教授(左)から記念の賞状を受け取る岩本さん(右)。

 

大学院志望者向け J-PARC見学ツアー

2018/6/16(土)に,主に 東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻での素粒子原子核実験・加速器分野(A2サブコース)での研究に興味がある学部生を対象に,世界最高クラスの強度を持つ陽子加速器施設,J-PARCの見学会を開催します。

詳細については,以下のページをごらんください。

J-PARC 施設見学ツアー 2018

物理学専攻 A2サブコースには,J-PARCで世界最先端の研究を行なっている以下の教員が所属しています。

  • 小沢 恭一郎(高エネルギー加速器研究機構)
  • 小関 忠(高エネルギー加速器研究機構)
  • 齊藤 直人(高エネルギー加速器研究機構)
    • ミューオンの磁気及び電気双極子モーメントの測定による,標準模型を超えた新たな物理の探索
    • 研究室ホームページ
  • 横山 将志(東京大学 大学院理学系研究科)

SuperKEKB加速器で電子・陽電子の初衝突を観測

我々の研究室は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器を用いて生成されるB中間子・D中間子・τ粒子等の崩壊を詳細に調べ,素粒子物理の標準模型を超える現象を探索するBelle II実験に参加しています。

SuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の運転が終了した2010年から,加速器の衝突頻度を40倍に高めるための改造と,対応して測定装置(Belle II検出器)の性能を高めるアップグレードを行ってきました。

2016年には衝突なしでビームを調整する「フェーズ1」運転が行われたのち,2017年春にはBelle II 測定器を衝突点にロールイン,その後も衝突点付近の電磁石を導入するなど立ち上げ作業を行い調整を進めてきました。

2018年3月19日から衝突に向けて「フェーズ2」運転を開始し,2018年4月26日午前0時38分,初めての電子・陽電子の衝突が観測されました。

今後,7月までフェーズ2運転を継続し加速器・測定器の調整とデータ収集を行います。その後,夏から秋にかけて我々の研究室で作成したシリコンバーテックス検出器(SVD)などの崩壊点位置検出器を中心部に組み込んでBelle II検出器を完成させ,2019年初頭からはいよいよ本格的な実験(フェーズ3)が開始される見込みです。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)のプレスリリース

次世代ニュートリノ科学連携研究機構が発足

2017年10月1日,大学院理学系研究科と宇宙線研究所,カブリ数物連携宇宙研究機構の3つの部局が協力し,将来のニュートリノ研究の基幹設備となるハイパーカミオカンデ計画の推進を目的として,「次世代ニュートリノ科学連携研究機構」(NNSO)が創設されました。
理学系研究科からは,当研究室の横山将志 准教授(写真),相原博昭 教授,岩本康之介 研究員が参加しています。

T2K実験,ニュートリノの「CP対称性の破れ」に迫る

本研究室の横山准教授らが参加するT2K実験では,J-PARC加速器で人工的に作り出したニュートリノビームを295km離れたスーパーカミオカンデで観測し,ニュートリノ振動の研究を行っています。

2016年10月~2017年4月に取得したデータを加え,2016年夏の結果公表からニュートリノビームのデータ量を約2倍に増やして世界最高感度の測定を行った結果,ニュートリノにおいてCP対称性が破れている可能性はさらに高まり,95%となったことを公表しました。

T2K実験では,今後もデータ収集を続けるとともに,ニュートリノビームを生成するビームラインや前置検出器のアップグレードを行い,系統誤差を削減して精度の良い測定を行い,CP非対称性の破れに迫っていきます。本研究室では横山准教授が前置ニュートリノ検出器のアップグレードプロジェクトのリーダーをつとめるほか,大学院生もT2K実験で重要な役割を果たしています。

新メンバー

新年度になり,研究室に新しいメンバーが加わりました。

  • 岩本康之介(特任研究員,ロチェスター大学出身)
  • 藤田 亮(M1)

今後の活躍に期待がかかります。

清水さん送別会

本年度博士の学位を取得した清水信宏さんの送別会が行われました。4月からは,大阪大学の研究員として,J-PARCでK中間子の稀崩壊を探索するKOTO実験で活躍の予定です。

日本物理学会

3月17-20日に大阪大学で開かれた日本物理学会第72回年次大会で,小瀬,Mora,Wan,田村,細見,竹馬,古賀 が講演を行いました。