本計画研究の目的は,KEK Bファクトリーでの実験の第二段階として, この標準理論の先にあると思われる, より基本的な物理法則についての手がかりを得ることにある。 標準理論は,個々のフェルミオンの質量が, なぜ現在観測されているような値になっているのかを説明することはできない。 さらに,最近のニュートリノ実験が強く示唆するゼロでない有限な値のニュートリノの質量は, ニュートリノは質量をもたないと仮定する標準理論に,その変更を迫っている。 我々の研究は,個々のフェルミオンの質量はどのような原理・法則のもとに 決まっているのか,これを説明する標準理論の先にあるより基本的な物理法則の発見を目指して, 新しい物理が出現すると期待されているB中間子の稀な崩壊過程を, 現在の実験装置の約2倍の分解能を持つ装置を 使って精密測定することを目的としている。 特に,より基本的な物理法則として期待されている, フェルミオンとボゾンの間の対称性に基づく「超対称性理論」 の予測するB中間子の崩壊モードの 精密測定を研究期間内の第1の目標としている。
我々が、過去5年間にわたって開発研究を続けてきたピクセル検出器を用いると,
B中間子の崩壊点を約
の精度で測定することができる。
これは,現行の検出器の精度を2倍以上向上させたもので,その結果
B中間子崩壊によって生成したチャーム中間子などの崩壊点の同定も可能である。
このため,B中間子崩壊の中で,
超対称性理論の効果が現れると予測されている
崩壊モード(
など)のデータに含まれるバックグランド(主に,
チャーム中間子)を取り除いて,データ
のS/N比を飛躍的に向上することができる。その結果,きわめて稀にしか発生しない
超対称性反応の検出が他の実験に先駆けて初めて可能になる。
もし逆に,この結果超対称性反応が検出できなければ,
超対称性理論に大きな制約を課すことができる。
KEKのBファクトリーは,世界最大のビーム強度を達成しており,
スタンフォード大の同型加速器と並ぶ
世界最高の性能を誇っている。
次の5年間で稼動する加速器は,
これら2つのBファクトリーと,
米国フェルミ研究所の陽子・反陽子加速器おいて他にはなく,
標準理論を超える新しい物理の研究に,
わが国の高エネルギー加速器実験が大きな寄与をすることができる。
我々のグループは,Bファクトリーを使って,B中間子におけるCP非保存現象について
すでに国際的に評価の高い結果を出してきた。
KEKのBファクトリーに,我々の開発した高い位置分解能を
有した次世代荷電粒子崩壊位置検出器を
導入すれば,B中間子物理を生み出す独壇場となるだけでなく,
今後の素粒子物理学の方向を決める重要な結果を得ることができると確信している。
平成14年度
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Nikos Drakos,
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Ross Moore,
Mathematics Department, Macquarie University, Sydney.